A / Bテストは今や当たり前ですが、現場では、やり方に悩みが多いようです。
どこからテストすればいいのか分からない。
やっているうちにシュリンクしてしまった。
思うような結果が出なかった。
などなど。
現場では、いろんな事情があるので、そうそう理屈通りにはいきません。そこで、その理屈通りにいかないものをどうやって現場に落とし込むのか?と言うのはとても重要です。
ここでは、その例示として、「年代別テスト」という最もベーシックなものについて考えてみます。
今回は、その第1弾として、
下の図で、20s、30s、60s と世代が飛んでいるのは何故?
なお、この考えは、FGI(フォーカス・グループ・インタビュー)を実施する場合にも役立つのですが、便宜的に、A / Bテストのため、としておきます。
ところで、A / Bテストとは言いますが、本来はテスト&ロールアウトプログラムと言い、AとBだけでなく、A, B, C・・・といくつも同時にテストをします。
上の図で、20s、30s、60s と世代が飛んでいるのは何故?
何故、全世代テストしないの?
20代~60代まで売れる商品なんてあるのか?と言う疑問はさておき、現場では教科書通りに行かないことが山のようにあるので、そのひとつの例だと想定してください。
(説明が複雑になるのでここでは性別は考えないものとします。)
さて、このような場合、本来ならば、
テストの大原則 その1より、
テストは同時期に、同条件で行う。
なので、全世代に向けてテストをしたいところです。しかし現場では、予算の制約など、様々な事情あるので現実的ではない場合が多々あります。
マーケティングコストを考える上で、全年代テストをすることはできない。
商品を先に作ってしまい、全くターゲットが分からない。
先に特定のターゲットに売りたいものがある。
予め設定したメインターゲットに対して社内で異論が出た。
全世代のテストは手間がかかる。
クリエイティブの都合上、出来ればパタンを最小限にしたい。
他に性別、ライフスタイルなどテストをしたい項目があり、それらとのクロスをさせると膨大なテストパタンになってしまう。
ここで、テストの大原則 その2
大きなテストから行う。
そこでまず、この例では、10代きざみの年代別ではなく、
現役層の中心(30代) VS リタイア層(60代)
の比較をすることにしました。両者は極端に離れ、かつ、正反対の生活スタイルなので、これは大きなテストです。
同時に、同じ現役層を比較するとします。ここで、40代にするのか、20代にするのかのどちらかです。商品特性から、20代の方を選択しました。これは小さなテストです。
現役層A(30代) VS 現役層B(20代) 40代と50代はこの商品では優先順位が低いと考えたわけです。そのため、テストの対象外としました。可能性が低いところにわざわざ予算を投下する必要はありません。
理屈の上では、全世代を対象とするべきですが、これが現実との差異です。
しかし、だからと言って40代、50代に可能性がないわけではありません。
テストの大原則 その3
コントロールを設定する。
コントロールとは、最も良いと思われる方法です。
この例では、30代をメインターゲットとし、コントロールとしました。そして、それに対して20代と60代をテストグループとしました。
20代は30代と隣接しています。60代は隣接していません。この違いは重要です。
テストの原則 その4
次期展開を想定する。
テストは前述したとおり、本来は、同時期に同条件で行うのが鉄則です。そして考えられ得るすべてのパタンをテスト出来れば理想です。しかし現実には無理です。そこで、1回のテストですべてを判明させるようにするのではなく、次の回を想定しておきます。
もし、想定どおり、20代、30代、あるいは60代が良かったなら、40代と50代のテストをやらなくて良かったね、と言う話になります。→この場合、当初予定していたメインターゲットの中から、さらに絞り込むことが出来る。
しかし、以下のようなケースも考えられます。
もし20代からの反応が一番良ければ→20代ターゲットにしぼりこむ。40代、50代のテストは不要。
もし30代からの反応が一番良ければ、さらに分析の結果、それが30代後半であったなら→40代もターゲットとなる可能性がある。
もし60代からの反応は一番良ければ、さらに分析の結果、それが60代前半であるのなら→50代ターゲットもあり得る。
分析の結果、30代後半と60代前半が一番良ければ、40代~50代がメインターゲットである可能性があり得る。
と言う具合に、次期展開の広がりが出てくるわけです。
この、広がりが出てくる、と言うのは上記の例を見ていると簡単そうですが、意外に難しく、テストを実際にやっていると、次に何のテストをするのか分からない=シュリンクしてしまったと言うようなことが多く見られます。 結局「なんだかさっぱり分からなかった・・・」。テストをやったことがとても無駄に感じてしまいます。
このようにならないためにも、ここで挙げました「4つの原則」を念頭に、テストを設計してみてください。
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