CPOとはCost Per Order = 広告費÷受注数 = 受注1件あたりの広告費のことです。 DRM(ダイレクトマーケティング)では基本中の基本中の基本、ですよね。 いっけん、これはとても単純な計算に見えます。もちろん、DRMの初級者はその考え方で十分です。
しかし、実はこれ、とても複雑なんです。
広告費って何?受注数て何?
このうち、今回は広告費って何?について考えてみます。
なお、ここでは、敢えてLTVや限界CPOについては考えないこととします。
計算しやすいので、DM(ダイレクトメール)を例にしておりますが、メルマガ広告、SNS広告、マス広告などあらゆるメディアはセールスプロモーションなどで使えます。

1. DMの印刷単価の違いを反映させる
私は若い頃、DM(ダイレクトメール)の評価を行っていてふと疑問に思いました。
テストAは5,000件、テストBは10,000件、そしてそれまで実績のある方法としてC群100,000件。
A~Cのすべて、同じ母数であれば話は簡単なのですが、現実のプロモーションは様々な事情があるため、そう単純ではありません。
同じ広告費÷受注数でいいのだろうか?
テストA、Bにはそれぞれ、この後でロールアウトを控えているわけです。勘のいい方はすでにお察しかも知れませんが、そうです、印刷単価と言うのは部数によって変わるわけです。
この場合でしたら、テストAよりもB、テストBよりもC群の方が元々単価が安いのでいい結果が出る確率が高くなるわけです。そのことを反映させないまま、広告費÷受注数で計算してしまったら、どうなるでしょうか?
同様なことは、あらゆるメディアで発生します。
-B ボリュームディスカウントの反映
印刷の部数単価の話をしましたが、どんなメディアにも、ボリュームディスカウントというものがあります。上記例、DMなら広告郵便物扱いは封入封かん代金、その他のメディアでもボリュームディスカウントはあるので、その分を考慮しておかないと、CPOは正確なものではなくなります。
2. DRM(ダイレクトマーケティング)は時系列展開である
DRMは時系列展開です。私は、単発のプロモーションはDRMとは呼ばないと考えております。例えば、DMは最低3回やらないといけません。メルマガやSNSなどはそれ以上(ただし、やり過ぎると嫌われる・・・難しいところですね)。
効くDM、効くメルマガなどはない!マーケティングとは、記憶との闘い!
そのとき、メッセージをつないでいく。例えばこんなつなぎ方があります。時系列展開の典型です。(図1)
メルマガ広告やSNS広告などはさらに計算が複雑なので、ここではDMを例にします。
この場合、一回のDMあたりのCPOなのか?DM1~2までのCPOなのか?あるいは3までのCPOなのか?と言う課題が登場します。
1+2+3 全体の比較
1,2,3 それぞれ単体の比較
1+2, 1+3, 2+3 の比較
そして下記の絵を見ても分かるように、DM1の定型外とDM2の圧着を逆にした場合はどうなるのか?とか。(今の私なら基本的にはDM1と2は逆にしますけどね)
図1

もっと言ってしまうと、上記のような3連のものをひとつのキャンペーンと呼ぶとすると、キャンペーンAとキャンペーンBのCPOの比較、と言うのも発生しますね。
3. ブランドの蓄積効果
3-A 事前告知と、事前認知
上記の時系列展開ではさらにDM0として、「ティーザー」というものを追加することがあります。私の経験では、これは無駄のように見えますが結構効きます。
また、予めブランドとして認知されているものとそうでないものとでは、基本的にはブランドが認知されているものの方が勝ちます。
だからレスポンスとは関係の無い広告展開も、時には必要なわけです。
しかし、そのブランドは別に費用がかかります。また、DMだけのためにやっているわけではありません。この分を広告費にどのように乗せるのか?
3-B. 同じターゲットでの蓄積
前回のDMで反応しなかったとしても、もしそのDMを見ていれば、例え開封せず、封筒が来た、というだけでもブランドの蓄積は発生します。
あるいは、その間にネット広告をやったりしていたら、そこでもブランドの認知は発生します。 そうした影響はどのように考えましょうか?この場合、前回のDMやメルマガ広告の費用は加算して考えるのでしょうか?今回のみで考えるのでしょうか?
あるいは、その商品、あるいはキャンペーンをローンチさせて、1カ月目のCPOなのか?2か月目のCPOなのか?時間の経過とともに、ブランドの蓄積は起きていますから、その分を反映させて評価する必要も出てきます。
しかし、時間が経過すると別のものを売ろうとしてみたり、コピーを変えてみたりしてしまうこともありますよね?。その変化はどのように加味しましょうか?
4. 他のメディアを絡ませる場合 / 母数が明確に分からない場合
DMやメルマガのようなものは、母数が明確なので、テストをやる際も、母数による調整は可能です。母数が大きい方は広告費が高くなるのは当たり前のことです。しかしfacebook広告のようなものを介する場合はどうでしょうか?
例えば、前項3. に近い話ではありますが、facebookに反応し(エンゲージメントとなり)→その後、自社ホームページあるいはランディングページに登録→その後メルマガやDMを出したら注文があった。この場合、いったいどこまでが広告費の範疇となるのでしょうか?
5. 広告費が変化する場合、どうなるのか?
今これを書いているのは8月ですが、季節によって広告料金が変わる場合はどうでしょうか?広告費そのものがセール価格であるなど。この場合、通常価格とセール価格で両方で比較をする必要がありますが、セールの時期はセールしかやってないので、フェアな比較はできません。では、セールの時だけ売ればいいのか?というとそういうものでもないですよね?そこで、フリップフロップテストというのを採用する必要が出てきます。
まだまだありそうです。もちろん、これらのすべてを反映させることは不可能です。
しかし、知っているのと知らないのとでは、意識して評価するのとそうではないのとでは、大違いですよね?
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